●福祉運営協設置求め全国統一要請行動

  許可取得期限控え正念場

 白ナンバーによる有償移送サービスの許可取得期限が1年を切った。NPOボランティアが道路運送法80条の許可を取得するには地方自治体主宰の有償運送運営協議会の設置と了承が不可欠だが、全国約3000の自治体の内現在、設置は5%にも満たず遅々としている。「このままでは来年4月以降、違法行為として摘発されてサービスが停止し、多くの移動困難者が外出手段を奪われる」との危機感から、全国移送サービスネットワーク3団体が9日から月末まで都道府県に対し、運営協の設置促進を要請する運動を展開している。運営協の設置には地元タクシー業界も関与することになるが、残り1年弱の間にどこまで設置が進むか正念場にさしかかった。

移送ネット3団体

 運営協の設置促進に乗り出した移送ネットワーク団体は@移送・移動サービス地域ネットワーク団体連合会(笹沼和利代表世話人、約400団体)A移動サービス市民活動全国ネットワーク(牧野史子代表、約190団体・個人)BNPO法人市民福祉団体全国協議会(米山孝平代表理事、約790団体・個人)−全国組織3団体。

 5月を統一行動月間に定め、連休明けの9日から全国の移送団体が都道府県に統一要請行動に入った。同時に設置動向を調査し6月10日までに回答するよう求めている。

「違法行為として摘発」懸念

 要請では「運営協の設置遅延で多くの移動困難者が社会参加や通院などに不可欠な外出手段を奪われることを強く懸念する」とし、「国土交通省もタクシー事業者が提供している車両数は全タクシーの2.2%にすぎず、利用が集中する時間帯には必ずしもニーズにこたえきれていない実態があることを認めている中、NPO等から申請・相談があっても、運営協が設置されないのは自治体の認識不足と言わざるを得ない」と指摘した上で、「全県域の設置を誘導した神奈川では設置方針を決定して実際の申請が協議されるまで約半年を要しており、一部運輸支局は猶予期限切れの来年4月以降は未許可団体の摘発や家宅捜査は当然あり得るとの見解を公言しており、利用者やNPO等は強い危機感を持っている」と強調。

 具体的に@広域行政を担う都道府県の役割として各地域の移送・移動サービスを実施する市民団体の実態を把握するANPO等から設置要請があった地域では、速やかに市区町村を誘導し運営協を設置するか、都道府県主催の広域運営協を設置する−の2点を求めている。

東京交通新聞 2005.5.16(月)